脱Googleで失敗する人のほとんどが、Gmailから手をつけています。これが一番やってはいけない順番です。
メールアドレスの変更は、この工程の中で唯一「相手に知らせる必要がある」=取り返しがつかない作業です。一番難しいものを最初に持ってくれば、途中で止まるのは当然です。
この記事では、実際に移した経験から順番と理由を整理します。各工程の細かい手順は個別記事にまとめてあるので、この記事は全体の地図として使ってください。
移す順番と、その理由
結論から書きます。この順番で進めてください。
| 順 | 移すもの | やり直せるか | この順番の理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | パスワード管理 | 完全に元に戻せる | 以降の全工程でログインし直しが発生する。ここが土台 |
| 2 | カレンダー | 元に戻せる | 他への依存が最も少ない。練習台になる |
| 3 | クラウドストレージ | 元が残る | コピーなので失敗しても消えない。ただし量が多いと時間がかかる |
| 4 | メール | 戻しにくい | 相手にアドレス変更を知らせる必要がある。最後にする |
| 番外 | VPN・検索・ブラウザ | いつでも | 好きなタイミングで。急ぐ必要はない |
基準はシンプルで、「やり直しがきくものから順に」です。
パスワード管理は、気に入らなければエクスポートして元に戻すだけです。カレンダーも同じ。ストレージはコピーなので、Google側のファイルは残ります。
ところがメールだけは違います。取引先や役所に「アドレスが変わりました」と伝えた後で「やっぱり戻します」は言えません。だから最後です。
ステップ1:パスワード管理を移す(ここが土台)
最初にやるべき理由が3つあります。
- 以降の工程で、何十回もログインし直すことになる。 移行作業そのものがパスワード管理を必要とします
- Chromeにパスワードを保存していると、ブラウザを変えた瞬間に詰む。 ここを先に外しておかないと動けません
- 失敗しても何も失わない。 エクスポートして戻せます
手順
- Chromeに保存されているパスワードをCSVで書き出す → Chromeのパスワードをエクスポートする方法
- パスワードマネージャーの無料アカウントを作る
- CSVをインポートする
- Chromeのパスワード保存機能をオフにして、保存済みを削除する
何を使うか
無料で使えるものは複数あります。私はProton Passを使っていますが、パスワード管理だけが目的ならBitwardenの方が合理的な場面もあります。
- パスワード管理アプリのおすすめ【無料で使える4つを比較】 — まず全体像を見るならここ
- Proton Pass と Bitwarden を比較 — 2択まで絞れているなら
- Proton Pass の使い方 — 決めたあとの操作手順
▶ Proton Passを無料で試す(クレジットカード不要)
ステップ2:カレンダーを移す(練習台にちょうどいい)
2番目にカレンダーを持ってくる理由は、他への依存が最も少ないからです。
カレンダーは基本的に自分だけで完結します。共有カレンダーを使っていなければ、移しても誰にも影響しません。しかも .ics というファイル形式が標準なので、いつでも元に戻せます。
手順
- Googleカレンダーから予定を
.icsで書き出す → Googleカレンダーの予定をエクスポートする方法 - 移行先のカレンダーに読み込む → GoogleカレンダーをProton Calendarに移行する方法
- スマホのカレンダーアプリの設定を切り替える
実際に使ってみた感想はProton Calendarの使い方にまとめました。
ステップ3:クラウドストレージを移す(時間がかかるので早めに着手)
ここは作業自体は簡単ですが、時間がかかります。容量が多い人は、着手だけ早めにしておくと後が楽です。
安心してよいのは、これはコピーであってGoogle側のファイルは消えないという点です。失敗しても失うものはありません。
手順
- Googleドライブから必要なファイルをダウンロードする
- 移行先にアップロードする → GoogleドライブからProton Driveに移行する方法
- 同期アプリを入れて、以降は新しい方に保存する
操作方法はProton Driveの使い方、無料枠でどこまでやれるかはProton Drive 無料版の使い方にまとめています。料金と容量の比較はProton Driveの料金・容量プラン比較です。
ステップ4:メールを移す(最後・最難関)
ここまで来たら本丸です。ただし「一気に切り替える」のは絶対にやめてください。
段階的に移す手順
- 新しいメールアドレスを作る。 まだ誰にも教えません → Proton Mailの登録方法
- 初期設定を済ませる。 日本語化・署名・フォルダを整える → Proton Mailの初期設定ガイド
- 過去のメールと連絡先を引き継ぐ。 → GmailからProton Mailに移行する方法
- Gmailに転送設定を入れる。 ここが肝です → Gmailから別のアドレスへ自動転送する方法
- 重要な相手から順にアドレス変更を伝える。 銀行・行政・仕事など
- 問題がなければ範囲を広げる
転送設定を入れる意味
4番の転送設定を入れておけば、アドレス変更を伝え忘れた相手からのメールも、新しい受信箱に届きます。これがあるので「全員に一斉に知らせる」必要がなくなり、失敗が致命傷になりません。
全部を転送したくなければ、特定のメールだけを転送する方法もあります。
移行先をどう選ぶか
選択肢は複数あります。5つのサービスを料金と暗号化で比べたものがGmailの代替メールサービス5選です。Gmailとの1対1の比較はProton MailとGmailを徹底比較にまとめました。
▶ Proton Mailを無料で作る(まず作るだけならタダです)
費用の実額:容量で見るとGoogleの方が安い
正直に数字を並べます。2026年7月26日時点の公式表示です。
| プラン | 月額 | 容量 | 含まれるもの |
|---|---|---|---|
| Google 無料 | ¥0 | 15 GB | Gmail・ドライブ・フォトの合計 |
| Google One Basic | ¥290 | 100 GB | ストレージのみ |
| Google AI Plus | ¥1,450 | 2 TB | ストレージ+Gemini |
| Proton 無料 | ¥0 | — | メール・カレンダー・ストレージ・パスワード管理・VPNに各無料枠 |
| Proton Unlimited | ¥1,249 (年 ¥14,988) |
500 GB | 上記すべての有料機能+VPN+パスワード管理 |
読み取れることは2つです。
- 容量単価ではGoogleの勝ちです。 100GBが月¥290。ここは競争になりません
- Protonの¥1,249は「詰め合わせ」の値段です。 VPNは他社で単体契約すると月1,000円前後、パスワードマネージャーも別料金。それらが1本にまとまっている、という理解が正確です
つまり「ストレージを安く増やしたい」が目的なら、脱Googleは合理的な選択ではありません。VPNもパスワード管理も使わないなら、素直にGoogle Oneの方が安く済みます。
損得の細かい計算はProton Unlimitedは元が取れる?でやりました。プランごとの中身はProton Unlimitedのプランを解説にまとめています。
番外:VPN・検索・ブラウザは急がなくていい
この3つは後回しで構いません。生活への影響が小さいか、代替の質にばらつきがあるためです。
VPN
Proton Unlimitedを契約すると自動的に付いてきます。無料版もあるので、まず触ってみるのが早いです。
検索エンジン
ブラウザの既定を変えるだけなので5秒で終わります。ただし検索結果の質はGoogleが強い場面が多いのが実情です。切り替えて不便なら戻せばいい、くらいの気持ちで十分です。
ブラウザ
Chromeから移るのが一番手間がかかります。拡張機能・ブックマーク・パスワードの3つを移す必要があるためです。ただしステップ1でパスワードを外に出してあれば、難易度は大きく下がります。これも順番が効いてくるところです。
やらなくていいこと
完璧を目指すと必ず途中で折れます。私が「やらなくていい」と判断したものを挙げます。
| よく言われること | 私の判断 |
|---|---|
| Googleアカウントを削除する | 不要。 削除すると写真もYouTubeも消える。使わなければいいだけ |
| Gmailアドレスを完全に捨てる | 不要。 転送設定を入れた受信専用として残す方が安全 |
| Androidをやめる | 不要。 コストが大きすぎる。移行の効果とは別問題 |
| Googleマップの代替を探す | おすすめしない。 実用性の差が大きすぎる |
| 全ファイルを移す | 不要。 見られて困るものだけでいい |
脱Googleは、宗教ではなくリスク配分の調整だと思っています。全部を1社に預けている状態から、重要なものだけ別のところに移す。それで目的の大半は達成されます。
よくある質問(FAQ)
脱Googleは何から始めればいいですか?
パスワード管理からです。以降のすべての工程でログインし直しが発生するため、ここが土台になります。またChromeにパスワードを保存したままだと、ブラウザを変えた瞬間に動けなくなります。失敗しても元に戻せる作業なので、最初に持ってくるのが合理的です。
なぜGmailを最後にするのですか?
メールアドレスの変更だけが「相手に知らせる必要がある」=取り消せない作業だからです。パスワードもカレンダーもファイルも、気に入らなければ元に戻せます。メールだけは、取引先や役所に伝えた後で撤回できません。だから他がすべて終わって慣れてから着手します。
Googleアカウントは削除すべきですか?
削除しないことをおすすめします。Googleアカウントを消すと、Googleフォトの写真、ドライブのファイル、YouTubeの登録チャンネルまで一緒に消えます。使わなければ目的は達成できるので、残したまま放置するのが安全です。
全部無料でできますか?
始めることはできます。メール・カレンダー・ストレージ・パスワード管理・VPNのそれぞれに無料枠があるので、費用をかけずに試せます。ただし無料枠は容量が小さいため、本格的に移すなら有料プランが必要になる場面が出てきます。
Google Oneより高くなりませんか?
容量だけで比べると高くなります。Google One Basicは100GBで月¥290、Proton Unlimitedは500GBで月¥1,249です。ただしUnlimitedにはVPNとパスワード管理が含まれており、これらを別途契約すると月1,000円以上かかります。ストレージだけが目的ならGoogleの方が安い、というのが正直な比較です。
どのくらい時間がかかりますか?
工程によって差があります。パスワード管理とカレンダーは各1時間程度で終わります。ストレージは容量次第で、100GBを超えると転送だけで数日かかることもあります。メールは段階的に進めるものなので、数週間から数ヶ月かけて範囲を広げる形になります。一気に終わらせようとしないことが成功の条件です。
まとめ
全体の地図をもう一度まとめます。
- 順番は パスワード → カレンダー → ストレージ → メール。 やり直しがきくものから進めます
- メールを最初にやると必ず折れます。 唯一、相手に知らせる必要がある作業だからです
- Gmailは転送設定を入れて残す。 伝え忘れた相手からのメールも届くので、失敗が致命傷になりません
- Googleアカウントは削除しない。 写真もYouTubeも消えます。使わなければいいだけです
- 容量単価ではGoogleが安い。 ストレージ増量が目的なら移す意味は薄いです
- 全部やりきる必要はありません。 重要なものだけ移せば目的の大半は達成されます
まずはステップ1のパスワード管理だけ試してみてください。1時間で終わって、しかも完全に元に戻せます。ここが済むと、残りの工程は驚くほど楽になります。
▶ Protonの無料アカウントを作る(メール・カレンダー・ストレージ・パスワード管理が1つのアカウントで使えます)

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