SimpleLogin(シンプルログイン)は、メールアドレスのエイリアス(使い捨てアドレス)に特化したサービスです。Bitwardenのエイリアス連携先としても筆頭に挙げられています。
調べていて驚いたのですが、Proton Passを開発したのは、このSimpleLoginのチームでした。SimpleLogin自身の公式ブログに、そう書かれています。
つまりProton Passのhide-my-emailは、SimpleLoginの技術がそのまま入っているというより、同じ人たちが作った兄弟のような関係です。では、どちらを使えばいいのか。整理しました。
Proton Passを作ったのはSimpleLoginのチームだった
まず関係性を整理します。SimpleLoginのFAQには、こう明記されていました。
さらに公式ブログには、もっと踏み込んだ記述がありました。
時系列にするとこうなります。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2022年 | SimpleLoginとProtonが統合 |
| その後 | SimpleLoginチームがProton Passを開発 |
| ― | Securitumのセキュリティ監査に合格(重大な脆弱性なし) |
| 2024年11月 | SimpleLogin PremiumにProton Pass Premiumの機能を統合 |
つまりProton Passは「SimpleLoginの機能を借りている」のではなく、同じチームが作った別製品です。Proton Passの使い勝手がエイリアス周りで妙にこなれているのは、これが理由だったのだと納得しました。
料金と、無料でできること
2026年7月26日時点の公式ページの内容です。
| 項目 | 無料($0) | Premium($36/年 または月$4) |
|---|---|---|
| エイリアス数 | 10個 | 無制限 |
| エイリアスからの返信・送信 | 無制限 | 無制限 |
| 受信先メールボックス | 1つ | 無制限 |
| ブラウザ拡張 | Chrome / Firefox / Safari | 同左 |
| スマホアプリ | iOS / Android | 同左 |
| 2段階認証 | TOTP / WebAuthn(FIDO) | 同左 |
| 独自ドメイン | ― | 無制限 |
| キャッチオール | ― | ○ |
| サブドメイン | ― | 5つ |
| PGP暗号化 | ― | ○ |
| Proton Pass Premiumの機能 | Proton Pass 無料版 | 含まれる |
無料版で光るのは「返信できること」
無料プランで注目すべきは、エイリアスからの返信・送信が無制限にできる点です。
使い捨てアドレスの弱点は、相手から返信が来たときに「そのアドレスで返せない」ことです。本来のアドレスから返信すると、隠していた意味がなくなります。
SimpleLoginはリバースエイリアスという仕組みでこれを解決していて、エイリアスのまま返信できます。これが無料で無制限に使えるのは素直に良い設計です。

Proton Passとどちらを契約すべきか
有料プランの内容を並べると、判断しやすくなります。
| Proton Pass Plus | SimpleLogin Premium | |
|---|---|---|
| 年額 | ¥4,488 (40%割引適用時) |
$36 (約¥5,400) |
| 無制限エイリアス | ○ | ○ |
| Passの有料機能 (2FA・保管庫共有・漏洩監視) |
○ | ○(含まれる) |
| PGP暗号化 | ― | ○ |
| 受信先メールボックス無制限 | ― | ○ |
| キャッチオール・サブドメイン | ― | ○ |
| セルフホスト | ― | ○ |
| パスワード管理そのもの | ○ | ○(Pass経由) |
| 日本語の情報量 | 比較的多い | 少ない |
ここで重要なのは包含関係が一方向だという点です。
- SimpleLogin Premium には Proton Pass Premium の機能が含まれる
- Proton Pass Plus に SimpleLogin Premium の機能は含まれない
差額はおよそ¥900です。年900円ほど多く払えば、PGP暗号化・受信先メールボックス無制限・キャッチオール・サブドメインが上乗せされる計算になります。
それでも多くの人にはProton Passを勧めます
理由は3つです。
- 上乗せされる機能は、独自ドメインを持っている人向けです。キャッチオールもサブドメインも、自分のドメインがなければ意味がありません
- PGP暗号化も、相手がPGPを使っていなければ出番がありません
- 日本語の情報がほとんどありません。 困ったときに調べにくいのは実務上の負担です
▶ Proton Passを無料で試す(エイリアス10個が無料で使えます)
Proton Unlimitedには含まれない(3つ目の例)
念のため確認しました。
私が契約しているProton Unlimitedのダッシュボードに表示される内容に、SimpleLoginの記載はありませんでした。
| サービス | Proton Unlimited に含まれるか |
|---|---|
| Proton Mail / Calendar / Drive / VPN / Pass | 含まれる |
| Lumo AI | 含まれない |
| Standard Notes | 含まれない |
| SimpleLogin | 含まれない |
これで3つ目です。Protonの「全部入り」プランは、買収したサービスや後から加わったサービスを含みません。
Proton Unlimitedに含まれるのは、Mail・Calendar・Drive・VPN・Passの5つが中心です。Unlimitedという名前から「Protonのすべてが使える」と受け取ると、期待が外れます。
同じ構造の話はStandard Notesとは?とProton Lumoとは?にも書きました。
日本語には対応しているが、情報が古い
SimpleLoginの公式サイトには日本語版があります。
simplelogin.io/ja/ を開くと、料金ページもきちんと日本語で表示されました。「エイリアスからの無制限返信/送信」「キャッチオール(またはワイルドカード)ドメイン」といった項目も翻訳されています。
ただし内容が英語版と一致していません
比べてみたところ、日本語版のPremiumプランの説明には「Proton Pass premiumの機能が含まれる」という記載がありませんでした。英語版には明記されている項目です。
| 英語版 | 日本語版 | |
|---|---|---|
| Premium の機能一覧 | PGP暗号化+Proton Pass premium | PGP暗号化まで |
| 上部の告知バナー | あり | ― |
なおProton側でも、Proton DocsやLumoが英語UIのみでした。Protonグループ全体として、日本語対応はメール・カレンダー・ドライブ・パスワード管理までで、それ以外は後回しという傾向が見えます。
よくある質問(FAQ)
SimpleLoginはProtonの製品ですか?
はい。SimpleLogin公式のFAQに「SimpleLoginはProton AGの製品であり、スイスで登記番号 CHE-354.686.492 として登録されています」と明記されています。2022年にProtonと統合しました。
Proton Passとどう違いますか?
公式ブログによると、Proton PassはSimpleLoginのチームが開発した製品です。役割の違いとして、Proton Passはパスワード管理が中心でエイリアスも使える、SimpleLoginはエイリアス専業でより細かい機能(PGP暗号化、受信先メールボックス無制限、キャッチオール、サブドメイン、セルフホスト)を持つ、という関係になります。
無料でどこまで使えますか?
エイリアス10個、受信先メールボックス1つ、ブラウザ拡張、スマホアプリ、2段階認証が無料で使えます。特にエイリアスからの返信・送信が無制限にできる点が優秀で、使い捨てアドレスのまま相手に返信できます。
SimpleLogin PremiumとProton Pass Plus、どちらがお得ですか?
包含関係が一方向です。SimpleLogin Premium($36/年)にはProton Pass Premiumの機能が含まれますが、逆は含まれません。差額は約900円で、PGP暗号化・受信先メールボックス無制限・キャッチオール・サブドメインが上乗せされます。ただしこれらは独自ドメインを持っている人向けの機能なので、そうでなければProton Pass Plus(年¥4,488)で十分です。
Proton Unlimitedを契約すれば使えますか?
SimpleLogin Premiumは含まれません。ただしProton Unlimitedには無制限のhide-my-emailエイリアスが含まれているため、エイリアスが目的なら追加契約は不要です。SimpleLogin Premiumが必要になるのは、独自ドメイン絡みの機能を使いたい場合だけです。
日本語で使えますか?
公式サイトに日本語版があり、料金ページも日本語で表示されます。ただし日本語版は英語版より情報が古く、Premiumに「Proton Pass premiumの機能が含まれる」という記載が反映されていませんでした。確認する際は英語版も見比べることをおすすめします。
まとめ
公式ページを確認した結果をまとめます。
- SimpleLoginはProton AGの製品です。 公式FAQにスイスの登記番号まで明記されています
- Proton Passを開発したのは、このSimpleLoginのチームです。 借り物ではなく兄弟製品の関係です
- 無料で10エイリアス、返信も無制限。 エイリアスのまま返信できるのは実用上とても大きいです
- SimpleLogin Premiumには Proton Pass Premium が含まれます。 逆は含まれません
- 差額約900円で上乗せされるのは、独自ドメイン向けの機能。 持っていなければ使い道がありません
- Proton Unlimitedには含まれません。 Lumo・Standard Notesに続いて3つ目です
- 日本語版はあるが情報が古い。 一番おいしい情報が抜けているので、英語版も見てください
結論として、独自ドメインでメールを運用していないなら、Proton Passで十分です。エイリアスは無料で10個使えるので、まずはそこから始めてみてください。

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