Standard Notesは、エンドツーエンド暗号化されたメモアプリです。EvernoteやGoogle Keepの代わりとして名前が挙がります。
あまり知られていませんが、このアプリは現在Protonの傘下にあります。公式サイトのロゴにも「POWERED BY PROTON」と入っており、Proton公式サイトの製品一覧にも掲載されています。
公式ページを確認したところ、契約前に知っておくべき点が3つありました。特に無料版の制約は、多くの紹介記事が触れていません。
①実はProton傘下(ただし日本語の紹介記事はほぼ触れていない)
両方向から確認しました。
| 確認先 | 記載内容 |
|---|---|
| Standard Notes公式サイト | ロゴに 「POWERED BY PROTON」 |
| Proton公式サイトのフッター | 製品一覧に 「Standard Notes」を掲載 |
Proton公式のフッターに並んでいる製品は次の通りでした。
Proton Mail / Proton Calendar / Proton Drive / Proton VPN / Proton Pass / Proton Wallet / Proton Docs / Proton Sheets / Proton Authenticator / Proton Meet / Lumo AI / Standard Notes / SimpleLogin / Proton for Business
SimpleLoginも同じくProton傘下です。Proton Passの「hide-my-email」の技術的な出どころがここで、Bitwardenのエイリアス連携先としても筆頭に挙げられているサービスです。
これが意味すること
「暗号化メモアプリを探してStandard Notesにたどり着いた人」と「脱GoogleでProtonを検討している人」は、実は同じ会社の製品を見ています。片方だけ知っている状態はもったいないので、両方を見比べたうえで選ぶのが合理的です。

②無料版はプレーンテキストのみ(Markdownも有料)
ここが最大の落とし穴です。公式の料金ページに記載されていた内容を整理します。
| 項目 | Standard (無料) |
Productivity ($63/年) |
Professional ($84/年) |
|---|---|---|---|
| エンドツーエンド暗号化 | ○ | ○ | ○ |
| デバイス同期 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
| 書ける形式 | プレーンテキストのみ | Markdown・リッチテキスト・チェックリスト・コード | 同左 |
| 整理方法 | タグのみ | フォルダも可 | 同左 |
| オフライン利用 | ○ | ○ | ○ |
| 個別ノートのパスワード保護 | ○ | ○ | ○ |
| 2段階認証 | ○ | ○ | ○ |
| 毎日の暗号化メールバックアップ | ○ | ○ | ○ |
| スプレッドシート | ― | ○ | ○ |
| 他サービスの2FA認証アプリとして使う | ― | ○ | ○ |
| Web Clipper | ― | ○ | ○ |
| 変更履歴 | ― | 1年分 | 最大 |
| 暗号化ファイルストレージ | ― | ― | 100 GB |
| 家族共有 | ― | ― | 最大5アカウント |
無料版の評価
良い点は「無制限のデバイス同期が無料」です。これはかなり太っ腹で、暗号化・オフライン利用・毎日のバックアップまで無料に含まれます。
ただし書けるのはプレーンテキストだけです。見出しも、太字も、箇条書きも、チェックリストも使えません。Markdownで書きたいなら有料プランが必要です。
③Proton Unlimitedには含まれない
Protonの傘下なので、Proton Unlimitedを契約すれば使えるのではと考えたくなります。私もそう思って確認しました。
自分のProton Unlimitedアカウントのダッシュボードに表示されていた内容には、Standard Notesの記載はありませんでした。
| Proton Unlimited(月¥1,249)に含まれるもの |
|---|
| メール(15アドレス・3独自ドメイン)、Dark Web Monitoring |
| パスワード管理(無制限のログイン、保管庫共有、2FA統合) |
| 500 GB ストレージ、オンライン文書エディタ、ファイル復元 |
| VPN(148か国・20,507台) |
| Standard Notes ← 記載なし |
| Lumo AI ← 記載なし |
つまりStandard Notesを有料で使いたいなら、Protonとは別に契約が必要です。買収したサービスは、まだ料金体系として統合されていません。
日本から契約するときの注意
料金ページを開くと、日本向けの案内が表示されました。
読み取れることが2つあります。
- 日本向けの地域価格が用意されています。 表示されていたのは Productivity が年$63、Professional が年$84 でした
- 日本の請求先住所のカードが必要です。 海外発行のカードや請求先が一致しないカードで契約すると、自動的にキャンセルされて返金されます
地域価格は安く設定されている一方、その条件を満たさないと契約が維持できないという仕組みです。日本在住で日本のカードを使うなら問題ありません。
また米ドル建てなので、円での請求額は為替で変動します。年$63は1ドル150円換算で約9,450円、$84なら約12,600円です。
Proton Docs・Proton Driveとどう使い分けるか
Protonの中には、文章を書ける場所が複数あります。混乱しやすいので整理します。
| Standard Notes | Proton Docs | Proton Pass のメモ | |
|---|---|---|---|
| 向いている用途 | 個人のメモ・日記 | 文書・共同編集 | 短い秘密のメモ |
| 共同編集 | ― | ○ | ― |
| 無料で使えるか | ○(プレーンテキストのみ) | ○ | ○ |
| Unlimitedに含まれるか | × | ○ | ○ |
| 日本語UI | ― | ×(英語のみ) | ○ |
| オフライン | ○ | ― | ○ |
実務的な結論はこうなります。
- すでにProton Unlimitedを契約しているなら、まずProton Docsで足りないか試す。 追加費用がかかりません
- オフラインで書きたい、日記を続けたいならStandard Notes。 ここはDocsにない強みです
- Markdownで書きたいなら、Standard Notesは有料前提で考える
Proton Docsの実力はProton Docsとは?実際に使って分かった実力、Proton Drive全体はProton Driveとは?にまとめました。
▶ Proton Driveを無料で試す(Docsも一緒に使えます)
Evernote・Google Keepと何が違うか
Standard Notes公式は、比較対象としてEvernote・Google Keep・Simplenote・Obsidianを挙げています。
公式サイトの表現を借りると、主張はこうです。
この主張の是非はさておき、構造としては当サイトで繰り返し出てくる論点と同じです。
| Standard Notes | Google Keep など | |
|---|---|---|
| 事業者が中身を読めるか | 読めない | 読める |
| 方針が変わったら | 変わらない(仕組み上) | 扱いが変わりうる |
| 法的要請があったら | 暗号文しか渡せない | 中身が対象になりうる |
健康の記録、パスポート番号、契約書、日記。「他人に読まれる前提では書けない内容」を書く場所として選ぶなら、この差は決定的です。
同じ構造の話はGmailはGoogleに読まれている?でも扱っています。
よくある質問(FAQ)
Standard NotesはProtonの製品ですか?
Protonの傘下です。Standard Notes公式サイトのロゴには「POWERED BY PROTON」と入っており、Proton公式サイトのフッターの製品一覧にもStandard Notesが掲載されています。ただしStandard Notes側のサイトにはProtonの説明がほとんどなく、ブランドは独立して運用されています。
無料版でどこまで使えますか?
エンドツーエンド暗号化、無制限のデバイス同期、オフライン利用、タグでの整理、個別ノートのパスワード保護、2段階認証、毎日の暗号化メールバックアップまで無料です。ただし書けるのはプレーンテキストのみで、Markdownやリッチテキスト、チェックリストは有料プランが必要です。
Proton Unlimitedを契約すれば使えますか?
使えません。私のProton Unlimitedアカウントのダッシュボードには、Standard Notesの記載がありませんでした。有料で使うにはProtonとは別に契約が必要です。同じことがLumo AIにも当てはまります。
料金はいくらですか?
無料プランのほか、Productivityが年$63、Professionalが年$84です(日本向けの地域価格として表示されていた金額)。米ドル建てのため、円での請求額は為替で変動します。1ドル150円換算ならそれぞれ約9,450円、約12,600円です。
日本から契約するときの注意点はありますか?
日本向けの地域価格が適用されるため、クレジットカードの請求先情報が日本と一致している必要があります。一致しない場合、公式ページの案内によるとサブスクリプションは自動的にキャンセルされ返金されます。
Proton Docsとどちらを使うべきですか?
すでにProton Unlimitedを契約しているなら、追加費用のかからないProton Docsをまず試すのが合理的です。ただしオフラインで書きたい場合や日記を続けたい場合は、Standard Notesの方が向いています。共同編集が必要ならProton Docsです。
まとめ
公式ページを確認した結果をまとめます。
- Standard NotesはProton傘下です。 ロゴに「POWERED BY PROTON」と入り、Proton公式の製品一覧にも掲載されています
- 無料版はプレーンテキストのみ。 Markdownもリッチテキストも有料です。ここは多くの紹介記事が触れていません
- 無料でも無制限のデバイス同期。 暗号化・オフライン・毎日のバックアップも無料に含まれます
- Proton Unlimitedには含まれません。 別契約が必要です。Lumo AIも同じです
- 日本向けの地域価格があります。 ただし日本の請求先のカードでないと自動キャンセルされます
- SimpleLoginもProton傘下です。 Proton Passのhide-my-emailの出どころがここです
「暗号化された安全なテキストの置き場所」が欲しいだけなら、無料版で十分です。Evernoteの代わりを求めるなら有料前提で考えてください。すでにProtonを契約しているなら、追加費用のかからないProton Docsを先に試すのが合理的です。
▶ Proton Driveを無料で試す(暗号化ストレージとDocsが使えます)

コメント