Proton Docsは、Googleドキュメントに相当するエンドツーエンド暗号化されたオンライン文書エディタです。Proton Driveの一部として提供されていて、無料アカウントでも使えます。
実際に文書を作って検証したところ、日本語で使う上で知らないと確実につまずく制約が2つありました。日本語の解説記事が見当たらなかったので、実機で確認した内容をそのまま書きます。
Proton Docsとは何か
位置づけを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| できること | オンラインで文書を作成・共同編集する |
| 位置づけ | Proton Driveの一部。作った文書はDriveに保存される |
| 料金 | 無料アカウントでも使える |
| 暗号化 | エンドツーエンド暗号化 |
| 表計算 | Proton Sheetsも同じ画面から作成できる |
| 画面の言語 | 英語のみ |
文書を開くと、タイトルの横に「End-to-end encrypted」というバッジが常時表示されます。Proton公式の説明では「Protonでさえあなたのデータにアクセスできない」と書かれており、AIの学習に使われないことも明記されています。
技術的な作りとして1つ気づいた点があります。エディタ本体は docs-editor.proton.me という別ドメインのフレームとして読み込まれていました。文書の中身を扱う部分を、アカウント画面とは別の領域に分離する設計です。
実際に使って確認できたこと
新規文書を作って触った結果です。
問題なくできたこと
- 日本語の入力。 変換も表示も普通に通ります。ここは何の心配もいりません
- 基本的な書式。 太字・斜体・下線・取り消し線・文字色
- 見出しの設定。 「Normal」のドロップダウンから変更します
- 表の挿入、画像の挿入、リンク
- 箇条書き・番号付きリスト・チェックリスト
- コードブロックと引用
- コメント
- 編集モードの切り替え。 右上に「Editing」のドロップダウンがあります
公式が挙げている機能
私が単独で検証した範囲では確認しきれないため、公式ページの記載を挙げておきます。
- リアルタイムの共同編集(他の人のカーソル位置が見える)
- 提案モード(元の文章を変えずに修正案を出し、承認・却下する)
- スレッド形式のコメント
- Protonアカウントを持っていない相手ともリンクで共有できる

制約①:画面がすべて英語(日本語UIは未対応)
これが1つ目の制約です。
私のProtonアカウントの言語設定は日本語で、Proton Mail・Proton Drive・Proton Passはすべて日本語で表示されます。ところがProton Docsだけは違いました。
| サービス | 画面の言語 |
|---|---|
| Proton Mail | 日本語 |
| Proton Drive | 日本語 |
| Proton Pass | 日本語 |
| Proton Docs | 英語のみ |
実際に表示されていた項目を挙げると、次の通りです。
- ナビゲーション:Recents / All / Documents / Spreadsheets / Trash
- 作成メニュー:New document / New spreadsheet
- ツールバー:Normal / Editing / Share
- 右クリックメニュー:Open / Share / Move / Rename / Move to trash
難しい英語ではないので実用上の致命傷にはなりません。ただ「日本語で使える」と思って開くと面食らいます。
制約②:日本語フォントが1つもない
こちらの方が実務的には効きます。
フォントのドロップダウンを開いたところ、選べたのは次の10種類だけでした。
| 選べるフォント(全10種) |
|---|
| Sans Serif / Serif / Georgia / Arial / Helvetica |
| Monospace / Tahoma / Verdana / Times New Roman / Trebuchet MS |
| 日本語フォント ← 1つもありません |
初期値はArialです。日本語を入力すると、Arialに日本語の字形がないため環境側の代替フォントで表示されます。読めますが、フォントを選んで整えるということができません。
Googleドキュメントには日本語フォントが用意されているので、「見た目を整えた日本語の文書を作る」用途では、現時点でGoogleドキュメントに置き換わりません。

Googleドキュメントとの比較
確認できた範囲で並べます。
| 項目 | Proton Docs | Googleドキュメント |
|---|---|---|
| 事業者が中身を読めるか | 読めない(E2E暗号化) | 読める |
| 料金 | 無料アカウントで利用可 | 無料 |
| 日本語入力 | 問題なし | 問題なし |
| 画面の言語 | 英語のみ | 日本語 |
| 日本語フォント | なし | あり |
| リアルタイム共同編集 | あり | あり |
| 提案モード・コメント | あり | あり |
| アカウントなしの相手と共有 | リンクで可能 | リンクで可能 |
| 目次・脚注・数式など | ツールバーに見当たらず | あり |
| 表計算 | Proton Sheets | スプレッドシート |
差がはっきり出るのは1行目と、下から3行目までです。暗号化を取るか、機能と日本語対応を取るか、という選択になります。
Proton Drive全体の実力についてはProton Driveとは?実際に使って分かった実力にまとめました。
どんな用途なら使えるか
検証した実感からの整理です。
| 用途 | 判定 |
|---|---|
| 見られたくない内容の下書き | 向いている |
| 議事録・メモ・作業リスト | 向いている |
| 少人数での共同編集 | 向いている |
| 英語の画面が気にならない | 前提条件 |
| 体裁を整えた日本語の書類 | 向いていない(フォントが選べない) |
| 目次や脚注が必要な長文 | 向いていない |
| Googleドキュメントの完全な置き換え | 現時点では無理 |
正直に書くと、Proton Docs単体を目当てにProtonを契約する理由はありません。無料で使えるので、Protonアカウントを持っている人が「そういえば付いてくる」と気づいて使う、という位置づけが実態に近いです。
ただし「見られたら困る文章を書く場所」としては、はっきりした価値があります。Googleドキュメントに書いた文章は、Googleが技術的に読める状態にあります。Proton Docsはそうではありません。この違いが効く文章が1つでもあるなら、使う意味があります。
脱Google全体をどう進めるかは脱Google完全ロードマップに、ファイルの移行手順はGoogleドライブからProton Driveに移行する方法にまとめています。
▶ Proton Driveを無料で試す(Docsも一緒に使えます)
よくある質問(FAQ)
Proton Docsは無料で使えますか?
使えます。Proton Driveの一部として提供されており、無料アカウントで文書の作成・編集・共有ができます。作成した文書はProton Driveの容量を消費します。
日本語は使えますか?
日本語の入力と表示は問題ありません。ただし画面のメニューはすべて英語で、日本語UIには対応していませんでした。またフォントの選択肢は欧文の10種類のみで、日本語フォントは1つもありません。
Googleドキュメントの代わりになりますか?
用途によります。議事録やメモ、下書きのように体裁を整える必要のない文書なら十分に使えます。一方、日本語フォントを選んで見た目を整えたい文書や、目次・脚注が必要な長文には向きません。ツールバーにそれらの項目は見当たりませんでした。
本当に中身を読まれませんか?
エンドツーエンド暗号化されており、Proton公式も「Protonでさえアクセスできない」と説明しています。文書を開くと画面に「End-to-end encrypted」というバッジが常時表示されます。AIの学習に使われないことも公式に明記されています。
Protonアカウントがない人とも共有できますか?
できます。公式の説明によると、メールまたは共有リンクを使って、Protonアカウントを持っていない相手にも閲覧・編集の権限を渡せます。アクセス権はいつでも取り消せると説明されています。
表計算はありますか?
Proton Sheetsがあります。同じ画面の「New spreadsheet」から作成でき、ナビゲーションにも「Spreadsheets」の項目があります。
まとめ
実際に触って確認した結果をまとめます。
- 無料アカウントで使えます。 Proton Driveの一部として提供されています
- 日本語の入力は問題ありません。 変換も表示も普通に通ります
- 画面はすべて英語です。 Mail・Drive・Passが日本語なのに、Docsだけ英語でした
- 日本語フォントが1つもありません。 選べるのは欧文10種のみです
- ツールバーは最小限。 目次・脚注・数式などは見当たりませんでした
- 暗号化は本物です。 「End-to-end encrypted」のバッジが常時表示され、AI学習にも使われないと明記されています
Googleドキュメントの完全な置き換えにはなりません。ただ「Googleに読める場所には書きたくない文章」の置き場所としては、無料で使えることも含めて十分に価値があります。Protonアカウントを持っているなら、一度開いてみる価値はあります。

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