スマートフォンやブラウザで使えるパスワードマネージャー「Proton Pass」は、パスワードを暗号化して保存し、ログイン時に自動入力してくれるツールです。
メモ帳やブラウザのパスワード保存機能と違い、すべてのデータがエンドツーエンド暗号化されており、Proton自身もデータの中身を読めません。
この記事では、Proton Passのアカウント作成から、パスワードの保存・自動入力・パスワード生成・エイリアス・2FA管理といった基本操作まで、使い始めるために必要な手順を順番に解説します。
Proton Passとは
Proton PassはProton AGが提供するエンドツーエンド暗号化のパスワードマネージャーです。パスワードだけでなく、ユーザー名・ウェブサイトURL・メモ・2FAコード・クレジットカード情報など、すべてのフィールドが暗号化されて保存されます。
ChromeやSafariのパスワード保存機能はブラウザメーカーがデータにアクセスできる設計ですが、Proton Passは技術的にProton自身もデータを読めません。コードはオープンソースで公開されており、独立した第三者機関による定期的なセキュリティ監査を受けています。
対応しているプラットフォームは、Android・iOS・Windows・macOS・Linuxのネイティブアプリと、Chrome・Firefox・Edge・Brave・Opera・SafariのブラウザExtensionです。すべてのデバイス間でリアルタイムに同期されます。
無料プランでもパスワードの保存・自動入力・パスワード生成・エイリアス10件・パスキーの保存・2FA管理が利用できます。有料プランではエイリアスが無制限になり、ダークウェブモニタリング・Proton Sentinel・緊急アクセスなどが追加されます。
アプリ・拡張機能のインストール
Proton Passは用途に合わせて複数の形式で利用できます。スマートフォンで使うならアプリ、パソコンでウェブサイトにログインする機会が多いならブラウザ拡張機能が中心になります。両方を組み合わせて使うのが最も便利です。
Androidアプリ
1.Google PlayストアでProton Passを検索してインストールします


2.Protonアカウントでログインします



3.オートフィルの設定を求める画面が表示されたら「Autofill with Proton Pass」をタップします(後述)
iOSアプリ
- App StoreでProton Passを検索してインストールします
- Protonアカウントでログインします
- オートフィルの設定画面でProton Passを選択します
ブラウザ拡張機能(Chrome・Firefox・Edge・Brave)
- ChromeまたはChromiumベースのブラウザ(Edge・Brave・Opera・Vivaldi)の場合は、Chrome Web Storeで「Proton Pass」を検索してインストールします
- Firefoxの場合はFirefox Add-onsストアからインストールします
- インストール後、拡張機能のメニューからProton Passを「ツールバーにピン留め(Pin to Toolbar)」しておくと使いやすくなります
- 「Sign in with Proton」をクリックしてProtonアカウントでログインします
EdgeでChrome拡張機能を使う場合は、Chrome Web Storeへの初回アクセス時に「他のストアからの拡張機能を許可する」をクリックする必要があります。
Webアプリ(インストール不要)はpass.proton.meからブラウザで直接アクセスできます。
Proton メールからのアクセスの手順を解説します。
1.Proton mailのホームの左タブの上部のマークをクリックします。

2.Proton passをクリックします。

3.パスワードを入力し、「続行」をクリックします。

▶ Proton Passを公式サイトで見る(無料で使える)
アカウントの作成・ログイン
すでにProtonアカウント(Proton Mail・Proton VPN・Proton Driveなど)をお持ちの場合は、同じユーザー名・パスワードでProton Passにもログインできます。Protonのサービスはすべて同一のProtonアカウントで利用できます。
Protonアカウントをお持ちでない場合は「Create account」からアカウントを作成します。ユーザー名とパスワードのみで作成でき、メールアドレスや電話番号などの個人情報は不要です。
ログイン後、指紋認証(または顔認証)でアプリのロックを解除する「生体認証ロック」を設定しておくと、毎回Protonのパスワードを入力せずに済んで便利です。設定は プロフィール(Profile)→「生体認証(Biometric unlock)」から行えます。
1.Proton Passのトップページから右下のプロフィールのアイコンをタップします。

2.セキュリティのロックをタップします。

3.生体認証をタップします。

4.指紋を登録します。

PINコードによるロックも設定できます。プロフィール → 「セキュリティ」→「PIN」から設定してください。

PINコード、確認と2か所入力して、「続行」をタップします。

オートフィル(自動入力)の設定
Proton Passの最も重要な機能は、ウェブサイトやアプリのログイン時にユーザー名・パスワードを自動入力するオートフィルです。最初にデフォルトのパスワードマネージャーとして設定しておく必要があります。
Androidの設定
1.Proton Passアプリを開きます
2.「Profile(プロフィール)」タブをタップします。

3.自動入力をタップします。

4.「Proton Pass」をタップします

5.確認ダイアログで「変更」をタップして完了です

設定が完了すると、アプリやブラウザでログイン欄をタップした際にProton Passのサジェストが表示されるようになります。
iOSの設定
- iPhoneの「設定」アプリを開きます
- 「一般(General)」→「キーボード(Keyboards)」→「パスワードを自動入力(Autofill Passwords)」を開きます
- 「Proton Pass」にチェックを入れて有効にします
SafariやChromeでログイン欄をタップすると、キーボード上部にProton Passのサジェストが表示されるようになります。
パスワードを保存する(ログインアイテムの追加)
手動で追加する
アカウントを手動でProton Passに登録する場合の手順です。
Androidアプリの場合
1.Proton Passアプリを開きます
2.画面右下の「+」ボタンをタップします

3.「Login(ログイン)」を選択します

4.タイトル(サービス名など)・ユーザー名またはメールアドレス・パスワード・ウェブサイトのURLを入力します

5.「Create login(作成)」をタップして保存します

ブラウザ拡張機能の場合
- ツールバーのProton Passアイコンをクリックします
- 「+」→「Login」をクリックします
- 必要な情報を入力して「Create login」をクリックします
ウェブサイトのURLは、その時点で開いているタブのURLが自動的に入力されます。
ウェブサイトでログインしながら自動保存する
オートフィルが設定済みであれば、ウェブサイト・アプリのログイン時に自動保存の提案が表示されます。
ログインページでユーザー名・パスワードを入力してサインインすると、Proton Passが「このログイン情報を保存しますか?」と提案します。「Save」をタップ(またはクリック)すると自動的にProton Passに保存されます。
新しいアカウントを作成する場合も同様に、登録後に「保存しますか?」と表示されます。
保存したパスワードでログインする(自動入力)
オートフィルを設定済みであれば、ログイン操作はほとんど自動で完了します。
Androidアプリから使う場合
- ログインしたいウェブサイトまたはアプリを開きます
- ユーザー名またはパスワードの入力欄をタップします
- キーボードの上部またはポップアップにProton Passのサジェストが表示されます
- 対応するアカウントをタップすると、ユーザー名とパスワードが自動入力されます
サジェストが表示されない場合は「Open Proton Pass」をタップして、一覧から手動でアカウントを選択できます。
ブラウザ拡張機能から使う場合
- ログインページを開きます
- ユーザー名またはパスワードフィールドをクリックすると、Proton Passのサジェストが表示されます(フィールド内のProton Passアイコンをクリックしてもサジェストが開きます)
- 候補の中から正しいアカウントを選んでクリックします
強力なパスワードを自動生成する
Proton Passにはパスワードジェネレーターが内蔵されています。新しいアカウントを登録する際に安全なパスワードを素早く生成できます。
Androidアプリの場合
- ログインアイテムの作成画面で「Password」フィールドをタップします
- 「Generate password(パスワードを生成)」をタップします
- パスワードの長さ・文字の種類(大文字・小文字・数字・記号)を設定します
- 「Regenerate(再生成)」をタップして別のパスワードに切り替えることもできます
- 確定したら「Use this password(このパスワードを使用)」をタップします
ブラウザ拡張機能の場合
ウェブサイトのパスワード作成フィールドをクリックすると、フィールドの右端にProton Passのアイコンが表示されます。そこから「Generate password」を選ぶと、強力なパスワードが生成されてそのまま入力欄に挿入されます。
デフォルトでは20文字の英数字記号混在のパスワードが生成されます。サービスごとにパスワードの要件が異なる場合は、設定で文字の種類を調整してください。
アイテムの種類と管理
Proton Passに保存できるアイテムは複数の種類があります。「+」ボタンから以下のいずれかを選んで作成できます。

ログイン(Login)
ウェブサイトやアプリのユーザー名とパスワードの組み合わせです。URL・2FAシークレット・メモ・カスタムフィールドも追加できます。
クレジットカード(Credit Card)
クレジットカードやデビットカードの情報を暗号化して保存します。カード番号・有効期限・セキュリティコード・カード名義人名を保存できます。保存後はオンラインショッピング時にProton Passからカード情報を確認・コピーして入力できます(一部のサイトではオートフィルにも対応)。
セキュアノート(Secure note)
パスワード以外の機密情報(銀行口座番号・PIN・秘密の質問の答えなど)をE2EE環境に保存するメモです。プレーンテキストとMarkdown形式に対応しています。
hide-my-emailエイリアス
Proton Pass独自の機能で、新しいサービスに登録する際に実際のメールアドレスを非公開にしたまま使えるランダムなエイリアスアドレスを生成します。スパムや個人情報の流出を防ぎます。
新しいアカウントを作成する際に、ユーザー名・メールアドレスのフィールドでProton Passのサジェストを開き「Generate email alias(エイリアスを生成)」を選択すると作成できます。無料プランでは10件まで、有料プランでは無制限に作成できます。
保管庫(Vault)を使って整理する
Proton Passでは「保管庫(Vault)」という単位でアイテムをグループ管理できます。たとえば「個人用」「仕事用」「家族用」といった保管庫を作り、それぞれに関連するアカウントをまとめて管理できます。
保管庫の作成(Android)
- サイドバーまたは画面上部の保管庫名をタップします
- 「保管庫を作成(Create vault)」をタップします
- 名前・カラー・アイコンを設定して「保管庫を作成」をタップします
有料プランでは保管庫を他のProton Passユーザーと共有できます。共有相手は閲覧のみ(Viewer)または編集可能(Editor)の権限で追加できます。無料プランは保管庫1つのみで、共有には対応していません。
2FA(2要素認証)コードをProton Passで管理する
Proton Passにはワンタイムパスワード(TOTP)コードを生成・保存する機能が内蔵されています。Google AuthenticatorやAuthyの代わりにProton Passで2FAを管理することで、ログインとワンタイムコードの入力を1つのアプリで完結できます。
2FAシークレットの設定手順
- Proton Passで2FAを設定したいウェブサービスのアカウントページを開きます
- そのサービスの2FA設定画面でQRコードまたはセットアップキー(テキスト形式)を表示します
- Proton Passでそのサービスのログインアイテムを開きます
- 「Edit(編集)」→「2FA secret(2FA)」フィールドをタップして、QRコードをスキャンするかセットアップキーを貼り付けます
- 「Save」をタップします
設定後は、そのサービスにログインする際にProton Passのログインアイテム内にTOTPコードが自動生成・表示されます。ログイン時のオートフィル後、自動的にTOTPコードがクリップボードにコピーされる設定にすることもできます(有料プランの設定オプション)。
2FAはアカウントのセキュリティを大幅に高める機能です。Proton PassはProton Pass自体のアカウント(Protonアカウント)に2FAを設定することも強く推奨しています。
既存のパスワードマネージャーからインポートする
以前に別のパスワードマネージャー(1Password・Bitwarden・LastPass・Dashlane・Keepassなど)やブラウザ(Chrome・Safari・Firefox)のパスワード保存機能を使っていた場合は、一括インポートでProton Passに移行できます。
インポートはブラウザ拡張機能またはWebアプリ(pass.proton.me)から行います。
インポート手順
- Proton Passブラウザ拡張機能またはpass.proton.meを開きます
- プロフィールアイコン(または設定)→「インポート(Import)」を選択します
- 移行元のサービス(1Password・Bitwarden・LastPassなど)を一覧から選択します
- 移行元のサービスでエクスポートしたデータファイル(CSV・1PIF・JSON形式など)を選択してアップロードします
- 「インポートを開始(Start import)」をクリックします
多くのパスワードマネージャーはCSVまたは独自形式でのエクスポートに対応しています。エクスポート方法は各サービスの公式ドキュメントを参照してください。
Chromeのパスワードをインポートする場合は、Chrome設定 → パスワード → パスワードのエクスポートからCSVファイルをダウンロードして、ProtonPassのインポート画面でCSV形式を選択してください。
Pass Monitorでセキュリティを確認する
Pass MonitorはProton Passに内蔵されたセキュリティ監視機能です(有料プランのみ)。
ダークウェブモニタリングによって、自分のメールアドレスが外部のデータ漏洩事件に含まれていた場合にアラートで通知されます。脆弱なパスワードの検出では、推測されやすいパスワードや短すぎるパスワードを一覧で確認できます。使い回しパスワードの検出では、複数のサービスで同じパスワードを使っているアカウントが一覧表示されます。2FAが未設定のアカウントの確認もできます。
Pass Monitorへのアクセス方法は、Androidアプリ → 「Security(セキュリティ)」タブ → 「Pass Monitor」からです。ブラウザ拡張機能からもアクセスできます。
無料プランでも脆弱なパスワードの確認と使い回しパスワードの確認は一部利用できますが、ダークウェブモニタリングは有料プラン限定です。
よくある疑問
Proton Passを使ってもProtonアカウントが漏洩した場合は全パスワードが危険になりますか?
Protonアカウント自体には強力な2FAを設定することが重要です。Proton PassはProtonアカウントへのログインとは別に、アプリごとのPINや生体認証ロックを設定できます。さらに、Proton Sentinelを有効にすることでアカウントへの不正アクセス試行をAIと人間の専門家が監視します(有料プランのみ)。
オフラインでもパスワードを確認できますか?
はい。Proton Passにはオフラインモードがあり、インターネット接続がない状態でも保存済みのパスワードを閲覧できます。Androidアプリでは、設定からオフラインモードを有効にしてください。
パスワードを共有したい場合はどうすればいいですか?
有料プランでは、保管庫(Vault)を他のProton Passユーザーと共有できます。個別のログインアイテムを特定の相手と共有するセキュアリンク機能も利用できます。無料プランはパスワードの共有機能に対応していません。
Proton PassはGoogle Chromeのパスワード保存と併用できますか?
Androidのオートフィル設定でProton Passをデフォルトに設定すると、Chromeのパスワード保存と競合する場合があります。どちらか一方をデフォルトにして使うことをおすすめします。Proton PassをデフォルトにするとChromeのパスワード保存の提案が出なくなります。
まとめ
Proton Passの使い始めの手順を整理すると以下の通りです。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1 | アプリ・拡張機能をインストールしてProtonアカウントでログイン |
| 2 | Androidの場合はProfile → Autofillでデフォルトパスワードマネージャーに設定 |
| 3 | 生体認証またはPINのロックを設定する |
| 4 | 既存のパスワードを手動で追加またはインポートする |
| 5 | ウェブサイトのログイン時に自動保存・自動入力を使い始める |
| 6 | 新しいサービス登録時はパスワードジェネレーターで強力なパスワードを作成する |
| 7 | 重要なサービスには2FAシークレットを登録する |
最初は今まで使っていたパスワードをインポートし、新しく登録するサービスからProton Passのパスワードジェネレーターを使い始めるのが現実的な移行方法です。Proton PassはProton Mail・VPN・Driveと同じProtonアカウントで使えるため、すでに他のProtonサービスを使っている方はすぐに始められます。
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